正式名称は、経頭蓋磁気刺激治療。(Transcranial Magnetic Stimulation)TMSと言います。
この治療方法の特徴は頭皮から脳に磁気を当てる事により脳の働きを回復させる薬物を用いない治療方法です。
この治療の特徴は、抗うつ剤にみられるような副作用がすくないことです。
(磁気刺激の過程で頭部の痛みや不快感を覚える方もいらっしゃいますが、ほとんどのケースで治療を継続している中で軽くなっていきます。詳しくは当ページ下部の【磁気刺激治療(TMS)の副作用】に詳しく記載しましたので、ご参照ください。)
TMSを用いた治療は、うつ病や脳卒中後の片麻痺運動麻痺のリハビリ、認知機能の改善に有効であることが研究で明らかになっています。
当院で用いるRemed社から個人輸入経由で導入したTMS治療機器は海外でFDA認証を受けており、治療方法として保険適応となっている国もあります。
(当院で用いる機器は日本では医療機器認証がされておりませんので、自費診療扱いで対応させていただいております。2022/03/30現在、日本では1機種のみ医療機器認証がされております。)
2012年NHKスペシャル「ここまで来た、うつ病治療」において、
アメリカにおける磁気刺激治療が紹介されました。
それまで日本では薬物療法が多く、あまり聞きなれない治療でした。
磁気刺激治療は、薬物療法に効果が出ない患者様や、抗うつ薬の副作用が強かったり、肝臓腎臓障害の為薬の使用制限がある患者様に有効です。
またこの治療は、認知症患者様の症状改善や、脳卒中後の手指麻痺症状の改善にも有効である報告もあります。
磁気刺激治療で病気を完全に治癒できるわけではありません。
入院の必要はありませんが、約週3回外来通院が必要です。
治療中は、頭痛というよりは、磁気刺激痛(トントントンという頭を叩かれる痛みがあり、我慢できる痛みです)があります。これは磁気による、神経刺激痛です。
3回から4回治療して効果が出ないから治療を中止するのではなく、治療効果が出るのに少し時間がかかる事の理解が必要です。
薬物治療ならば薬を服用するだけです。しかしこの磁気刺激治療は、治療日数と自費費用また治療効果発現時間が課題です。
当院の機器は、シータバースト機能(より効果が強い機能)を標準装備しており、新治療プロトコールを採用しています。よって1日1回約17分程度、週3回と患者様の負担が少なくなりました。
治療中、頭をトントン叩かれる感触がありますが、我慢できる痛みの程度です。
最新の研究のよりうつ病は、「心の病気」ではなく、「脳の病気」と言われています。
脳には背外側前頭前野(DLPFC)と言う部位があります。ここの活動が弱くなるとうつ病になりやすいです。
背外側前頭前野の活動が弱くなると、間接的に扁桃体と呼ばれる恐怖や不安や悲しみといったネガティブな感情を司るところが活発になり、うつ症状が発症します。
最新の研究のよりうつ病は、「心の病気」ではなく、「脳の病気」と言われています。
脳には背外側前頭前野(DLPFC)と言う部位があります。ここの活動が弱くなるとうつ病になりやすいです。
背外側前頭前野の活動が弱くなると、間接的に扁桃体と呼ばれる恐怖や不安や悲しみといったネガティブな感情を司るところが活発になり、うつ症状が発症します。
活動が弱まった背外側前頭前野(DLPFC)に
磁気刺激を与え活性化させる
当院では、韓国製のREMEDを採用しています。この機器にはシータバースト機能が付いており、シータバーストを用いない方法より治療時間を短縮できます。
頻度の多い副作用として、以下の3つが挙げられます。
・TMSの刺激毎に頭部の筋肉が収縮するため、それに伴う違和感や痛みはほぼ必発ですが、程度はそれぞれです。
しかしながらTMS治療はほとんどの患者様にとって初めての経験になりますので、不安や恐怖から刺激時の痛みが増してしまうこと(ノセボ効果)もあります。
・心理的な側面もありますし、刺激の強さも異なるために、痛みの感じ方は人それぞれです。
治療を行いながら眠ってしまう方もいれば、痛みを必死にこらえてらっしゃる方もいます。
副作用といえるほどの痛みは5%ほどといわれていて、多くの場合は数回行うことで慣れてくるため、治療の間ずっと苦しむことは稀です
・磁気刺激中の痛みは、基本的に刺激時のみの一過性のものとなります。
・痛みの原因は筋肉を刺激してしまうことに由来するため、コイルの角度を調整して軽減できることがあります。
・あまりに痛みが強い場合は、刺激強度を慣れるまで下げることを検討します。
・一時的に鎮痛剤を治療前に使うことで、慣れるまでカバーすることもあります。
・まれにTMS治療後に緊張型頭痛が続くことも、同様にカバーしていきます。
それ以外の副作用としては、頻度は非常に少ないですが、以下の様なものがあります。
この中でも比較的にみられるのが、耳鳴りやめまいになります。
TMS治療では磁気刺激の音が大きいため、聴覚に影響することがあります。
耳栓を使うと30db程度低下(顕著に音が軽減したと認識できる程度)するため、気になる方は耳栓をご用意いただいたほうがよいでしょう。
双極性障害の患者さんにTMS治療を行った際に、治療を要するような躁転のリスクは1%弱と報告されています。
また重篤な副作用として知られるのは、とても頻度は低いのですが、けいれん発作が挙げられます。
けいれんの頻度としては、1セッション当たり0.003%未満との報告(30,000回の治療に1回)があり、30回のセッションを受ける場合は0.1%未満となります。
最近の報告では0.001%(89,000回に1回)と、けいれん発作のリスクはもっと頻度が少ないという報告されています。
またけいれん発作が生じる患者さんは、薬物やアルコールなどの問題が深く、脳の萎縮などの変化が生じているケースが多いといわれています。
rTMS治療によるけいれん発作は、実施中か実施直後におこります。
けいれん発作は比較的短時間(通常は1分未満、5分以内)であることが多く、長期的な後遺症は報告されていません。
帰宅後に時間がたってからけいれんが生じた場合は、ほかに原因があると考えられます。
けいれん発作を起こしやすい状況として
こちらの論文は、TMS治療の副作用と安全性を調べたもので、同時にノセボ効果についても調べています。
英語の原著論文はこちら(pub med)からご覧ください。
以下、一部引用して内容を要約し説明いたします。
ノセボ効果とは、治療をうけているというだけで心理的に発生する副作用のことです。
プラセボ効果は有名かと思いますが、その反対の効果になります。TMS治療は脳に刺激を与える治療ですから、そのイメージだけで副作用を感じてしまうことは当然あります。
結果を見ると、13.6%ほどのノセボ効果が認められています。
一方でTMS治療を行うと明らかに副作用報告は増えることから、やはりTMS治療による副作用も実際にあります。
副作用としては、頭痛とめまいが中心で、中止をせざるを得なかった患者さんは2%程度となります。実治療と偽治療で中止になった患者さんの割合はほとんど変わらないため、副作用の程度は大きくはないことがわかります。
また興味深いことに、うつ病をはじめとした精神疾患がある場合は、副作用が認められる割合が強まるということです。
総じてTMS治療は、安全性が高くて副作用も少ない治療といえます。
脳に磁気刺激を与えるという治療のイメージは人それぞれですが、心理的な副作用の可能性も考えて治療にあたっていくことは大切です。
そのため、少しでも治療における不安があれば医師に相談して安心していただきながら治療を進めることが重要です。
シータバースト(新型プロトコール)治療は、1回約17分。
治療頻度は、週3回が目安です。
回数 | 1回 | 初回10回分一括 | 初回20回分一括 | 追加10回分一括 |
---|---|---|---|---|
金額(税込) | ¥15,000 | ¥130,000 | ¥250,000 | ¥125,000 |
回数 | 1回 | 初回10回分一括 | 初回20回分一括 | 追加10回分一括 |
---|---|---|---|---|
金額(税込) | ¥10,000 | ¥90,000 | ¥150,000 | ¥80,000 |
※ 完全予約制です。来院前にお電話にてご予約ください。(未成年の方は、親権者の方の同意が必要です)
※ 自由診療のため全額自己負担です。
※ 料金は全て税込みです。
※ 初診料、再診料はかかりません。
これにより、問診によるうつ病診断をより確かなものにするための検査です。
※検査前の問診と検査結果から総合的に診断します
近赤外線(曇りの日ぐらいの光の強さ)が生体(骨、皮膚など)を通過する際、ヘモグロビンに吸収されることを利用して、生体の血流量を測定する方法です。
私たちの脳は何かを考えたりすると、脳内に多くの血流が流れます。この流れを光トポグラフィー検査で測定する事により、心の状態と脳の働きの関係を調べる検査です。
うつ病、統合失調症、双極性障害の補助診断法の一つです。
イスにゆったり座り、リラックスして下さい。
スタッフが患者様の頭に、光トポグラフィー装置を装着します。
場合によりその上から専用帽子をかぶります。少し頭の圧迫感がありますが、痛みはありません。
はじめに、「あいうえお」を30秒間繰り返し発音します。 次に提示された頭文字の言葉をたくさん回答します。(例えば あ から始まることばを3回くりかえします) 最後にもう一度「あいうえお」を70秒間繰り返し発音して終了です。 検査時間は約3分程度です。
医師が結果を分析して、総合判断をします。
光トポグラフィー検査 1回 | ¥10,000(税抜) |
---|
※ 完全予約制ですので来院前に必ずお電話にてご予約をお取りください。
※ 自由診療の為、全額自己負担となります。
※ 初診料、再診料はありません。
お電話にて、初診日時をご予約ください
※電話のみ。LINE不可
028-636-8488
お電話にて、
・お名前
・ご希望のご予約日時
・ご連絡のつくお電話番号
・気になっている症状・状態
をお伺いさせていただきます。
また、ご質問があればお気軽にお問い合わせください。
ご予約時間までにご来院ください。
当院のアクセス情報はこちら。
私は長年スポーツ整形外科に携わってきました。同時に手外科専門医としてケガや病気が原因で動きが悪い手指の治療をしております。
その中で、脳卒中後の片麻痺患者様の手指の動きを少しでも動かせるようにしてあげたいと考えておりましたが、一般的に発症後6ヶ月以上過ぎてしまった手指の麻痺の改善は難しいです。
最近、磁気刺激治療(TMS)を行う事により、一部の脳卒中後の手指の麻痺に対して改善が認められるとの報告があり、当院でも治療効果を上げております。
また、このTMSはうつ病の患者様の症状改善にも有効である為、私は知人のうつ病患者様に治療をしました。
この方はうつ病の治療薬を多く服用しておりましたが、10回のTMS治療で薬の量を減らす事ができ、うつ症状も改善し仕事に復帰する事ができました。
私は驚きました、うつ病にも効果のある治療(TMS)で、多くのうつ病患者様の症状を改善してあげたいと考えます。
もちろん心療内科の医師と相談しながら治療をします。
うつ病または脳卒中後の片麻痺・手指の動きの悪い患者様は一度この治療(TMS)を行なって下さい。
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