肘関節内側側副靭帯損傷(肘MCL損傷)
肘関節内側側副靭帯損傷(肘MCL)損傷
【こんなお悩みありませんか】
・転倒して手をついてから肘を動かすと肘の内側が痛む
・引き戸を閉める、開ける動作で肘の内側が痛む
・ボールを投げる、打つ時に肘の内側が痛む
こんな症状があるかたは肘関節の内側の靭帯(内側側副靭帯)を損傷や障害を起こしているかもしれません。
【なぜ肘の内側側副靭帯の障害が出るのか?】
・原因
肘の内側側副靭帯は肘の内側に関節をまたぐようにしてついている靭帯です。損傷の原理としては、その靭帯が強く引き伸ばされたり、ひねられたりするようなストレスがかかると損傷することになります。
肘の内側側副靭帯の位置
※©teamLabbody 3D Motion anatomy より引用し注釈
肘の内側が引き伸ばされるような動きは、肘より先だけが外側に行くような力(外反力)がかかったときに生じます。
肘の外反と内反のイメージ
※©teamLabbody 3D Motion anatomy より引用し注釈
肘関節は蝶番関節と言って曲げ伸ばしする動きについてはできますが、横への動きは靭帯で補強されていて動かないようになっています。そのためそもそも横の動きがないために、横からの外力が生じると靭帯に直接力がつたわってしまうのです。
損傷の原因は大別して 外傷性 と 障害性 に分かれます。
<外傷性>
転倒して手をついた時にテコの原理で肘関節に外反力が働くことで内側の靭帯が伸ばされて損傷もしくは断裂してしまいます。
腕を伸ばした状態で手をついて転倒したときに、肘が過剰に反ってしまったときにも損傷することが多いのが肘の内側靭帯です。
※©teamLabbody 3D Motion anatomy より引用し注釈 MagicPoserにより転倒姿勢を作成。
コンタクトスポーツであれば転倒の際や相手との直接的な接触で痛めることもあります。
<障害性(反復性)>
野球での投球動作やバドミントンのスマッシュ、硬式テニスのフォアハンド時など1回での動作では痛みや損傷にならないが毎日続けて同じところに負荷がかかることで徐々に靭帯に負担がかかり何かがきっかけで損傷する場合もあります。
単純にストレスをかける回数が多くなることで痛みが出てくるケースもありますが、多くの場合、不慣れな姿勢や負担のかかるフォームでの投球やラケット操作、要求されるスポーツレベルにおいつかない身体機能が原因で発生することが多いです。
画像クリックで拡大※日本手外科学会ホームページ 手外科シリーズ 18 野球肘 より引用
スポーツでは野球、バレーボール、硬式テニス、バドミントン、ゴルフのインパクトなどでよく見られます。
野球を例にした投球フォームの違いと肘の負担。
※MagicPoserにより作成
合わせて読んでいただきたい症例ページ:野球肘障害(投球肘障害)
・症状の出方
肘を曲げ伸ばしした時
直接押したり触ったりした時
投げるときのリリース時
ボールを打つときのインパクト時
物を持つときなど
損傷がひどくない場合は動かしたり触らなければ痛みは出にくいものですが、完全断裂や部分断裂になると動かさなくても痛みが出ることや寝ている時に痛みが出る事があります。
【こんな場面で痛める】
<外傷性>
・肘を伸ばした状態で手をついた時
・肘の内側に何かが直接ぶつかった時
・何かの拍子で肘に外反の力が加わった時
<障害性(反復性)>
・野球の投球
・テニスのフォアハンド
・バドミントンのスマッシュ
・バレーボールのアンダーサーブ
・ゴルフのインパクト
【肘の内側側副靭帯損傷が改善しない理由】
肘関節は曲げる、伸ばす動作の運動は安定性がありますが、その安定性を出すために内側と外側の靭帯に依存しています。MCL(内側側副靭帯)を損傷すると関節の安定性が失われてしまい、関節の安定性が失われて、通常の肘の曲げ伸ばしだけでもストレスが強くなってしまい、治りが遅くなってしまいます。
少し安静にして運動を控えると痛みが改善するので、一時的な筋肉痛などと間違われやすいのですが、多くの場合、同様の動作をすると痛みが出てくるので反復してストレスをかけてしまい、損傷につながることもしばしばです。
外傷性の場合で損傷が大きく、日常生活に支障が残る場合や、スポーツに支障が出てしまう場合は、手術的方法で靭帯を再建しなくてはなりません。
障害性の場合は、一時的に安静にしていれば痛みは改善します。保存的治療で痛みだけはとれるのですが、肘の外反力を強めている身体的な機能障害や動作の癖、フォームなどを改善しないと延々と肘の外反力をかけ続けてしまうため、内側の痛みが再発してしまいます。
こういった諸原因に対するそれぞれの対応を取らないために、放置されていて痛みを抱えている患者様もいらっしゃいます。
【一般的な治療方法】
一般的には安静、痛みの出る動作をしないようにして回復を図ります。損傷の度合いがひどい場合はシーネやギプスで2週間~3週間固定する場合もあります。
固定後動かしにくくなった関節の可動域訓練や筋力トレーニングなどのリハビリをする場所もあります。
これらの治療を経ても障害が改善しない場合や、保存療法では難しいレベルに損傷している場合は手術的に靭帯を再建する方法があります。
【当院の治療方法】
ドクターの診察から始まり、レントゲンやエコーで患部の診断をします。もしMRIが必要と判断された場合や患者様から希望があった場合は提携の病院に紹介します。
(MRI検査だけ提携の病院でして頂きその後のリハビリや診断は当院で行います。)
完全断裂の場合は手術適応をするかどうか医師と相談する必要があります。
部分断裂であればシーネやギプスで概ね2週間固定、経過観察で動かせるようになったらリハビリスタッフによるマンツーマンの治療を行います。
リハビリは担当制で最初から最後まで基本的に同じ担当のスタッフが治療して行きます。※予約が込み合っている場合は、担当外のスタッフが引き継いで対応する場合もございます。
症状や生活環境、スポーツ内容に合わせて可動域訓練、筋力トレーニング、動作分析、投球動作やスポーツ選手のフォーム指導、家でのセルフケア指導、電気治療、テーピングによる早期疼痛改善を行い早期現場復帰を目指して行きます。
特に、障害性の場合でリハビリテーションが処方される場合は、もともと肘の内側にかかる負担がどこからきているのかを判別する必要があります。リハビリ担当者はその原因を詳細に分析し、対処することで再発を防ぐ治療を目指しています。
※極力運動を控えないようにしながらの治療をめざしますが、状況に応じて運動の制限が必要な場合もありますので、医師やリハビリテーションスタッフにお問い合わせください。
当院ではスタッフにipadが支給されており、リハビリスタッフは必要に応じて患者様の動作をスローモーション撮影することで詳細に分析することができます。スポーツ動作などの速い動作ではスローモーションによる動作分析が力を発揮します。
動作分析から負担のかかっている動作や原因をみつけ、フォームの改善指導を行うこともあります。
肘にかかる負担が肘以外にあることもしばしばで、その場合は肘以外の問題を解決すべく適宜トレーニングを指導させていただきます。
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リハビリテーションを大切な試合までに受けられない、しかし可能なら参加したい!という場合には、医師と相談の上、運動前に服用するための痛み止めを処方されることもあります。
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