人工股関節術後のリハビリテーション

人工股関節(THA)の手術、本当にお疲れ様でした。
入院生活を終えてご自宅に戻られ、ホッと一息ついている頃かと思います。
一方で、「退院したけれど、まだ足に違和感がある」「家で一人で動くのが少し心配」と感じてはいらっしゃいませんか?
このページでは、退院後のリハビリの大切さと、ご自宅で安全に行える運動について、理学療法士が分かりやすく解説します。
1. 退院後のリハビリが必要な理由
入院中のリハビリは「家に帰るため」
入院期間には限りがあります。そのため、病院でのリハビリは「杖を使って歩く」「トイレに行く」など、安全にお家に帰ることが最優先でした。
これからは「自分らしく暮らすため」
退院した時点では、まだ筋力や柔軟性は完全に戻っていません。
「長く歩くと疲れる」「靴下が履きにくい」といった、生活の中での「困った」を解決していくのが、これからのリハビリです。
当院では理学療法士がマンツーマン(1対1)で対応し、入院中には対応しきれなかった以下のようなお悩みを治療します。
- ✅歩き方の癖を直す
痛みをかばっていた歩き方(びっこ)を修正します。 - ✅残っている硬さをほぐす
傷口周りやお尻の筋肉の「こり」を和らげます。 - ✅生活に合わせた練習
「階段」「床からの立ち上がり」など、ご自身の目標に合わせた練習を行います。
2. 理学療法士が教える「自宅での運動」
ここからは、股関節を安定させる3つの運動をご紹介します。
人工股関節には「脱臼(だっきゅう)」のリスクがあります。やり方を間違えると危険ですので、必ず以下の注意点を守ってください。
- 仰向けになり、両膝を立てます。足は腰幅程度に開きます。
- ゆっくりとお尻を持ち上げます。肩から膝が一直線になる高さで5秒キープします。
- ゆっくりと下ろします。(目安:10回×2セット)
「膝を閉じたまま(内股)」でお尻を上げないでください!
膝が内側に入ると脱臼のリスクが高まります。常に膝の間を「こぶし1つ分」空けて行ってください。
- 手術していない側を下にして横向きになります。
- 両脚の間に、厚めの枕やクッションを挟みます。
- 手術した脚を、膝を伸ばしたまま天井に向けてゆっくり持ち上げます。真横に上げるのがコツです。
- ゆっくり下ろします。(目安:10回×2セット)
脚を下ろした時に、脚がクロスしないように!
脚が体の中心を超えて下に落ち込むと、脱臼しやすい姿勢になります。必ず股の間に枕を挟んでください。
- 仰向けになり、両膝を立てます。
- 足の裏を合わせたまま、ゆっくりと両膝を外側に開いていきます。(あぐらをかくような動作)
- 内ももが軽く伸びるところで止め、深呼吸します。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
無理にグイグイ押したり、反動をつけないでください。
「気持ちいい範囲」で行うのが鉄則です。
また、戻す時に勢い余って膝を内側に倒しすぎない(内股にしない)ように注意しましょう。
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