アキレス腱断裂(損傷)
【運動中にこんなことがありました?】
・足首に「後ろから蹴られた」「硬いボールが強く当たった」などの強い外傷を受けた感覚があった(実際は何もされていない)。
・踏み込んだ時やターンした時に「ブチッ!」「バンッ!」という衝撃や音を感じた。
・アキレス腱に痛みがあり、つま先立ちができない。
・体重をかけられない。
こんな症状がある方はアキレス腱を断裂してしまったかもしれません。
【そもそもアキレス腱断裂とは】
ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ太い腱が切れた状態のことで、完全断裂と部分断裂に分けられます。
受傷好発年齢は30〜40歳代ですが、50歳以上の年齢層でも受傷することがあります。
主に運動中に受傷することが多く、前述したように足首の後ろ側(アキレス腱)に強い衝撃感を伴って断裂を知覚することが多いです。陸上ランナーやサッカー選手に多い傾向にありますが、運動不足の人が急にダッシュをするなど、アキレス腱自体やその周囲の組織の急激な伸び縮みに慣れていない状態でストレスがかかることで受傷することもあります。
【なぜアキレス腱断裂をするか】
【原因】
アキレス腱断裂の前兆とも言われるアキレス腱炎を治療せずに、痛みを我慢して運動を続けていると炎症を起こした組織が繊維状の瘢痕組織に置換されてしまう場合があります。この状態のアキレス腱は弾力性に乏しく、伸び縮みで容易に切れやすい組織になってしまいます。瘢痕組織に置換された組織は放置していると元通りに再生しなくなり、そしてアキレス腱断裂につながります。
30歳くらいからアキレス腱の変性変化(老化)が進行して、徐々に腱の柔軟性が低下します。さらに体重増加などで腱への負担が増加したり、無理な体勢を強いられたり、筋力の低下、また、普段あんまり運動されない方が突然運動を行ったり、普段から運動されている方でも限界以上の運動負荷をかけ続けることが受傷の要因になっています。
受傷原因はスポーツが約9割を占め、残りは60歳以上に多い転倒、転落など不慮の事故、日常動作による受傷が多くを占めます。若年層では主にスポーツ活動中のジャンプやダッシュなどでアキレス腱に強い力がかかったときに起こります。スポーツ種目別では1位テニス(主にレシーブ時)、2位バドミントン(レシーブ)に続いて、3番目にバレーボールで1ー3位で全体の50%を占めます。最近はサッカー(フットサル)が増えてきました。 バレーボールでは主にレシーブで前のボールを取りに行くときの蹴り足側や、移動してのトス動作時に多く発生します。
【診断】
アキレス腱断裂の特徴として、アキレス腱部に皮下の陥凹(へこみ)や、同部の圧痛があります。また、うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常な足関節は底屈しますが、アキレス腱が断裂するとこの底屈がみられなくなります。(Thompson テスト)
ほとんどの場合、通常のX線(レントゲン)検査では異常を認めません。レントゲン撮影では主に骨の状態を見るからで、アキレス腱の断裂状態はレントゲンには映らないのです。※まれに特殊なレントゲンでの撮影方法でアキレス腱の状態を確認しますが、当院では診断の正確性を担保するため採用していません。
確定診断にはMRIや超音波検査といった画像診断検査で断裂の程度を確認します。
【アキレス腱断裂から回復しない理由】
前兆ともいわれるアキレス腱炎を発症すると、足を動かすだけでも痛みが起こるようになります。しかし、運動能力の低下は見られないため少し安静にして運動を控えると痛みが改善するので、一時的な筋肉痛などと間違われやすいのですが、多くの場合、同様の動作をすると痛みが出てくるので反復してストレスをかけてしまい、断裂につながることもしばしばです。
保存的治療で痛みだけはとれるのですが、身体的な機能障害(体の硬さや筋力の不足、アキレス腱の粘り強さ)や動作の癖などを改善しないと延々とストレスをかけ続けてしまうため再発してしまいます。
こういった諸原因に対するそれぞれの対応を取らないために、放置されていてなかなか改善しない患者様もいらっしゃいます。また、アキレス腱断裂の治療をしたとしても、適切なリハビリでアキレス腱の強度を向上させないと、後遺症として爪先立ちがうまくできなくなったり走る時に足首の返しが使いにくくなるなどの症状が残ることもしばしばです。
以上のことから、アキレス腱断裂に至った人はアキレス腱単体の問題だけでなく、個人の原因に合わせた対処をしていく必要があるのです。
【一般的な治療法】
一般的にはギプス固定を受傷から6週間と装具固定を7週間目から10週間行い、安静や痛みの出る動作をしないようにして回復を図ります。
固定中に動かしにくくなった関節の可動域訓練や筋力トレーニングなどのリハビリをすることもあります。
これらの治療を経ても障害が改善しない場合や、保存療法では難しいレベルに損傷している場合は手術的に靭帯を再建する方法があります。
【当院のアキレス腱断裂の治療方法】
ドクターの診察から始まり、超音波検査やストレステストで患部の診断をします。もしMRIが必要と判断された場合や患者様から希望があった場合は提携の病院に紹介します。
(MRI検査が必要な場合は提携の病院で検査を受けて頂きその後のリハビリや診断は当院で行います。)
完全断裂の場合は手術適応をするかどうか医師と相談する必要があります。
部分断裂であればギプスで3週間固定、その後、アキレス腱保存療法専用の装具で8週間固定しながらリハビリスタッフによるマンツーマンの治療を行います。
当院では熟練の義肢装具士が隔週で在中し、患者様専用に型をとり、装具を作成します。長期間固定が必要なアキレス腱断裂では固定中の足の踏み込み角度の管理が難しいのですが、専用に作成した装具ではその管理が容易になり、かつ安定性も良いので装具をしながら家での生活がしやすくなります。松葉杖からも早く解放され、楽に生活できるのが特徴です。装具は医療保険が適応となります。
※社会福祉法人 福島厚生義肢製作所 様より画像提供いただきました。さまざまな装具や義手・義足のオーダーメイド製作を請け負う心強い提携会社様です。以下のリンクをタップすると福島厚生義肢製作所 様のサイトにジャンプします。
リハビリは担当制で最初から最後まで基本的に同じ担当のスタッフが治療して行きます。※予約が込み合っている場合は、担当外のスタッフが引き継いで対応する場合もございます。
症状や生活環境、スポーツ内容に合わせて可動域訓練、筋力トレーニング、スポーツ選手の動作分析、家でのセルフケア指導、電気治療による早期疼痛改善を行い早期現場復帰を目指して行きます。
そして負担がどこからきているのかを判別し、リハビリ担当者はその原因を詳細に分析し、対処することで再発を防ぐ治療を目指しています。患者様の個々人が有している身体状況や求められる復帰状況・環境に応じて、オーダーメイドのリハビリを提供することを主軸として対応してまいります。
運動器リハビリテーションとして処方される理学療法についての詳細は以下のバナーをクリック!
当院にはショックマスター(圧力波治療器)・超音波治療器など、豊富な物理療法機器もございますので、徒手だけでは難しいケースへの治療手段もご用意しております。
特に、ショックマスターは、アキレス腱断裂後に後遺症として生じやすい腱周囲の癒着による痛みや動かしづらさに対して効果があることが認められています。
超音波治療器は、炎症を抑え、硬くなった組織を正常な組織へと近づけていく治療機器で、古くから用いられている治療器です。
ショックマスター(圧力波治療器)
超音波治療器
アキレス腱周囲のお悩みで元通りスポーツや仕事をしたいと悩まれている方は、ぜひ当院への受診をご検討ください。
診療をお受けになる方法については、以下のページをご参照ください↓
当院へのアクセスはこちら。