宇都宮のはせがわ整形外科


【平日 20時まで診療、スポーツドクタークリニック】

腰椎分離症(腰椎椎弓疲労骨折)

【運動中の腰痛でこんなことは?】

 

運動している最中に腰が痛い

腰が反った際に痛みがある

ジャンプの着地動作にて痛みがくる

・バッティングで腰が入ると腰が痛い

走っているときの着地のショックで腰が痛くなってくる。

 

こんな症状がある小・中・高校生の方は腰痛分離症(腰の骨折)の可能性があります。

 

【腰椎分離症とは】

 

腰椎分離症を簡単に表してしまうと、スポーツを行なっている成長期に起こる腰椎の疲労骨折です。

野球、サッカー、バスケットボール、陸上などの選手に多く見られます。

 

図1:腰椎椎弓側面
図1:腰椎を横から見た図。
図2:腰椎椎弓
図2:腰椎椎弓を斜め上から見た図。腰椎の穴を横から形成する部分が椎弓。ここが疲労骨折しやすい。

※team lab Body 3D motion anatomy より一部編集して抜粋。

アプリ詳細は https://www.teamlabbody.com/ をクリック

腰椎の後ろ半分は「椎弓」といってリング状の構造をしています。(図1、2参照)そのリングの斜め後方は細く弱い部分にひび(疲労骨折)が入ってしまうと腰椎分離症となります。1番下の腰椎(第五腰椎)に好発します。
学童期(6-12歳)の腰痛症の50%が腰椎の疲労骨折であると言われています。

 

 

【腰椎分離症治療は早期発見と運動安静期間が大事です】

 

腰椎分離症が疑われた場合は速やかに医療機関を受診し、早期発見・早期治療を行うこと で良好な経過が得られると言われています。

硬性体幹装具(後述の腰用コルセット)装着およびスポーツ活動休止を行い、初期94.0%進行期45.5%終末期0%の患者に骨癒合が得られたという研究報告があります。

 腰椎分離症は運動中にみられる筋肉痛や骨折を伴わない腰痛と勘違いされやすく、放置されてしまい発見が遅れやすい疾患です。また、骨の成長が未熟な時期に分離症になると、腰椎すべり症になる危険性があるため、 骨癒合が期待できる成長期の時期であれば、積極的に骨を癒合させる治療が重要になります。その為には運動の安静期間が必要となります。この期間を守らずに運動を開始してしまうと腰椎滑り症のリスクが高まり、保存療法では完治する事が難しくなります。

 

当院での腰椎分離症治療を知りたい方はこちらをクリック!

 

 

 

【分離症を調べるには】

 まずはレントゲン検査を実施して骨折があるかないかを判断します。レントゲン上で骨折の判断がつかない場合や、1-2週間安静にしても腰痛が軽減してこない場合、MRI検査をすることで骨の中の状態を確認します。治癒が見込める腰椎分離症であることがMRI検査でわかった場合は、 定期的に検査を行い、治癒状態を確認しながら必要最低限の運動制限をかけつつリハビリをすすめていきます。

 

図3:腰椎分離症MRI 初期
図3:腰椎分離症MRI 初期 骨の白い部分が多く重症例だが初期。治癒が十分見込める像。
図4:腰椎分離症MRI 進行期
図4:腰椎分離症MRI 軽症例 白い部分が少なく、進行期と判断された例。

※MRIでの腰椎。図3が腰椎分離症重度例。骨の白い部分が濃く出ている。図4は軽症例ですが進行期で白い部分が少ないために治癒できるか悩ましい例。

 

 MRIでは分離症の進行程度がわかります。 分離症初期では、図3のように白く写ります。 この変化があれば骨癒合が期待できるとされています。

骨癒合が期待できる場合は運動の安静をしつつ装具で腰椎の動きを制限しながら骨折からの回復を待ち、定期的なMRI検査で癒合が進んでいるか確認しながらリハビリで再発予防や安静による体力減少への対抗をしていきます。(後述)

 逆にこの白い部分が少ない状態で椎弓が折れている場合(図4)は、進行期か終末期のため骨癒合が期待しにくくなります。

進行期の場合は骨癒合を期待し初期と同様の対処をしますが、終末期の場合は運動の安静はあえてせず、この状態でも疼痛が出ないように身体の使い方や身体機能の改善を図っていくようにリハビリをしたり、鎮痛薬を併用したりしてうまく付き合えるようにしていくことが目標となることが多いです。

 

【なぜ腰椎分離症になってしまうのか】

ーなぜ腰椎分離症が改善しないのかも含めてー

 

 発症する多くのケースでは骨が未発達である成長期の子供がスポーツの練習などで繰り返し腰に負担をかけることで発症する例が多く報告されています。また発症する子供の特徴として下肢の柔軟性低下や体幹機能低下が挙げられます。

例えばサッカーのシュートフォームの際に胸周りの固さや足を後ろに引く柔軟性がないと腰が反ったフォームとなり、腰椎に過度な負担がかかり、腰椎分離症となる可能性が高まります。

よくあるリハビリでのケースとして、股関節周囲の柔軟性が低いことによって腰椎の反りを捻りが増強してしまうようなスポーツ中の動作をとっていることがよくあります。加えて体幹・体軸を形成する筋力やバランスの不良のために腰椎分離症に至るストレスが増強していたと思われるケースも数多く見受けられます。この問題の解消がスポース復帰における条件になるのは腰椎分離症において重要な課題となります。この条件が揃った状態で復帰しないことで重症化したり再受傷するケースも多いため、リハビリを併用した治療が不可欠となります。

 

【一般的な治療方法】

治療には保存療法と手術療法があります。
保存療法はスポーツ活動の制限などの安静、コルセット(本人用に採型するもの)の装着、リハビリテーションの3つを併用していくのが一般的です。X線で分離がまだ明らかでなくMRIを撮ると椎弓内に信号変化がみられる分離の前段階では安静のみで治癒する事も多いです。
MRIで炎症所見がみられる段階では、分離部が癒合する事を期待して数ヶ月の安静やコルセット装着を行います。分離が完成してしまっており、安静をとっても癒合が望めない場合には、周囲や体幹の筋力強化で分離部の安定化を図ります。
これらの保存療法で症状が改善しない場合や、すべりが高度で下肢の症状がある場合などには分離部の固定を行う手術療法が考慮されます。

 

【当院のアキレス腱断裂の治療方法】

 

 MRI検査にて腰椎分離症と診断されたら、2カ月間の運動禁止とし日常生活では入浴時以外は就寝時も含めて半硬性コルセットと言われる装具を着用していただきます。(図5・図6を参照)

その間に全身の柔軟性の獲得、体幹機能の向上を図っていきます

2カ月づつ定期的MRI検査を行い、ドクター判断により骨癒合が十分になった時点で運動開始となっていきます。(多くが2~4ヶ月の安静となることが多い)

 

当院では熟練の義肢装具士が隔週で在中し、患者様専用に型をとり、装具を作成します。長期間固定となる事が多い腰椎分離症の治療ではそのの固定力や装具のフィット感で治療中の快適さや治癒効果が変わります。専用に作成した装具ではその管理が容易になり、かつ安定性も良いので装具をしながらの家での生活がしやすくなります。保険が適応となります。

図5:半硬性装具 前側
図5:半硬性装具 前側。前は柔らかい素材のため身体を曲げられます。
図6:半硬性装具 背面
図6:半硬性装具 背面:体型に合わせた硬い樹脂性の部分が背面~側面を多い、身体の反りと捻りを抑制します。これにより腰椎の骨癒合を邪魔する動きを抑制します。

※社会福祉法人 福島厚生義肢製作所 様より画像掲載許可をいただきました。さまざまな装具や義手・義足のオーダーメイド製作を請け負う心強い提携会社様です。以下のリンクをタップすると福島厚生義肢製作所 様のサイトにジャンプします。

http://www.gisi.jp/

 

 当院のリハビリテーションは、担当するリハビリスタッフが患者様一人一人の状態を把握させていただき、症状の経過を追いながら適切なリハビリメニューを計画し提供させて頂きます。また当院独自での運動開始基準を設けており、再受傷リスクをできる限り減らした状態での段階的な競技復帰を行なっております。

また、スポーツ復帰においては、スポーツの現場で必要な身体能力を考慮したリハビリ訓練を提供させていただき、スポーツに参加する患者様に応じたオーダーメイドのリハビリを提供してまいります。 

 

 

スタッフ一同、疼痛の軽減・解消、症状の再発予防、スポーツ復帰などの患者様の個々のご要望に則した治療を目指しています。患者様のお立場やお悩みを解決できるよう、誠心誠意診療させていただきます。

 

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